ふたつの線が交わるとき、そこには意味が生まれる。
まっすぐに進むことだけが、強さじゃない。
角度を変え、重なり合い、補い合うことで見えるものがある。
このリングは、そういう思想を持っている。
交差する2本の帯は、どちらが上でも下でもない。
どちらも主張を持ち、どちらも相手を支えている。
中央には、沈黙のような光が宿る。
語らずとも存在するその輝きが、
全体をひとつにまとめあげ、均衡を保っている。
装飾ではなく、構造で語る
このデザインは「装飾」ではなく「構造」だ。
華やかさに頼らない。
線の交差、そのわずかなずれと、包み込むカーブの中に美がある。
きらびやかなジュエリーとは別の次元で、
この指輪はただ「在る」。
所有するということ
誰かに見せるためではなく、
自分の中の静けさと強さを確認するために、これをつける。
選ぶ人もまた、直線ではない人生を歩んできた人だろう。
一度は崩れかけた計画。
思いがけず交差した縁。
手放した夢の残り香。
それらすべてを引き受けて、なお光を持つ人。
これは贈り物ではなく、“合意”である
この指輪を贈るということは、
「あなたに飾ってほしい」という願いではない。
「あなたと重なりたい」という、構造的な意志の確認だ。
それはプロポーズの言葉であってもいいし、
10年目の沈黙の愛であってもいい。
誰も気づかない贈与であってもいい。
最後に
もし、何も言わずにこれをつけている人を見かけたなら、
その人にそっと心の敬礼を。
彼女は語らないが、
もう、とっくに答えを持っている人だから。